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キットデザイナー
2026.01.21

待つ時間ごと、楽しむお菓子─琥珀糖作家二瓶あやさん|HanaCocoデザイナーズVol.4

「琥珀糖って、どうやって作っているんですか?」
初めてそう聞いたとき、琥珀糖作家の二瓶あやさんは少し考えて、ふっと笑いました。
その笑顔にはこう書いてありました。

「説明すると長い。
けど…語りたい。
さて、どこから話そうか」


その瞬間、筆者は確信しました。
この人は、ただ作っている人ではありません。
手間や時間ごと、向き合っている人、
そこに至る時間まで大切に、育てている人だと…

琥珀糖とは

琥珀糖は、砂糖と寒天を煮詰めて作る和菓子です。
外側はシャリッと、中はぷるんと柔らかい独特の食感が楽しめます。
光に透かすと宝石のように輝くことから、「食べる宝石」とも呼ばれています。

ひと口かじると、外側のシャリッとした層が割れ、
少し遅れて中のやわらかさが広がっていきます。
ひと粒の中に違う食感が重なっているため、噛み切るごとに印象が変わります。


そのルーツは江戸時代といわれ、砂糖が貴重だった時代に“ハレの日のお菓子”として大切に作られてきました。
寒天文化が根付いた日本ならではの製法で、完成まで数日~1週間ほど乾燥させる必要があります。

和菓子なのに、まるでガラス工芸のような繊細さです。
温度にも湿度にも影響され、気分にすら左右されます。


一気に食べてしまうには、もったいないお菓子です。

つまり、可愛い顔をしているのに、とんでもなく手間のかかる子なのです。
だからこそ、忙しい日常の中、自然と「ちゃんと味わおう」という気持ちになります。
琥珀糖を知っている人は多いですが、“本気の琥珀糖”を知っている人は、まだ多くありません。

二瓶さんは、その「本気」の作家さんです。
「きれいだから」だけではなく、
「ちゃんと向き合って作られているから選びたい」
そう思わせてくれる琥珀糖です。

初手から修行のような工程

琥珀糖の製造は、自宅ではなく専用の場所で行われます。
二瓶さんは、まず業務用の大きな鍋を前に、大量の水と寒天を投入し火をつけます。
続いて合流するのが、これまた規格外の大量の砂糖です。
遠慮も躊躇もなく加えられていきます。
その後は、火加減に気を配り、混ぜて、また状態を確認します。

その量は約10キロ。
そして約4時間。

生半可な気持ちでは務まりそうにありません。

乾燥はまるで育成ゲーム

「煮込み作業は早く終わらないかな…と思いながらやっています(笑)」

そんな正直な二瓶さんが、逆に好きだという工程が、その後の乾燥のターンです。
カットしたゼリーを並べ、1週間ほど寝かせて育てます。

「100粒あっても、一斉には乾かないんです。
先に膜が張る子、いつまでも湿っている子…それぞれスピードが違うんです」

琥珀糖を食べ物ではなく、手のかかる可愛い我が子のように扱う二瓶さん。


そんな二瓶さんが、今回HanaCocoのために、
エディブルフラワー(食べられるお花)を使った琥珀糖が作れるキットを開発してくれました。
琥珀糖の中に、花の色や形がそっと重なり、
まるで小さな庭を閉じ込めたよう。

心が入っています。
乾燥工程の様子。 湿度や時間と向き合いながら、ゆっくり育てます。
HanaCocoオリジナル、ドライエディブルフラワーをあしらった琥珀糖(イメージ)

思い出の味は容赦なく引き戻す

二瓶さんの琥珀糖には、
食べた人の記憶を、静かに呼び起こす力があります。
ある日、40代の女性が来て、こう言ったそうです。

「小さい頃、母が琥珀糖を作ってくれていました。
あの味を探して、色んなお店で買ってきたんだけど、どうしても見つからなかったんです。
調べていたら、こちらの琥珀糖は見た目がよく似ていて…もしかしたらと思って買いに来ました」

そして二瓶さんの琥珀糖を食べた瞬間——沈黙。
からの、

「これです。母の味です」

その女性は「母と一緒に食べたい」と言って持ち帰ったそうです。

自分のために食べるのはもちろん、
誰かと一緒に食べたくなる理由が、ここにあります。

次の構想は…ケーキ界への侵略

「次に挑戦したいことはありますか?」と聞くと、

「琥珀糖をフルーツみたいにケーキに飾って、色で表現してみたいです。
赤は苺にできるでしょ……青はブルーベリーとか!」

未来を語る目はキラキラしていて、すでに完成系が見えているようでした。
ここまで妄想できている人は、だいたい実現します。

しかし問題はひとつ。
「やりたいことが多すぎて、体が足りないんですよね」

それでも二瓶さんは、
手を抜くことや、急ぐことを選びません。
できる範囲で、時間をかける、
その姿勢は、琥珀糖の作り方にも、そのまま表れています。

透明を育てる誠実さ

琥珀糖は、外はカリッ、中はぷるん。
ギャップありすぎの食感です。
でも、それが魅力です。

湿度と戦い、火加減に振り回され、それでもまた翌日、琥珀糖を育て続けます。
「好きじゃなきゃできない仕事ですね」
そう語る二瓶さんの顔は、飾り気がなくて、まっすぐでした。

今日も製造所では、光を閉じ込めた小さな琥珀糖が、静かに透明を増しています。
そのそばには、鍋と戦い、色の偶然を楽しんでいる二瓶さんがいます。

計算ではなく、作り手の誠実さで作られています。


今回、二瓶さんがHanaCocoのために開発してくれた「エディブルフラワー×琥珀糖キット」は、
毎日つきっきりになる必要はありません。
けれど、ふと気にかける時間が生まれます。

琥珀糖の中に、どんな花が、どんなふうに収まっていくのかを見守る。
自分で制作した琥珀糖が完成したとき、しばらく眺めていたくなるのではないでしょうか。

そんな時間を、体験してみませんか。

二瓶さんの琥珀糖の世界は、エディブルフラワー×琥珀糖キットとして、ご自宅でご自身の手で体験することができます。

▶︎キットの詳細を見る 

はじめてキットに挑戦する方にも安心して取り組んでいただけるよう、
HanaCocoの販売キットには写真付きの丁寧な説明書が同封されています。

さらに、こちらの琥珀糖キットには、工程を確認できる動画も付いています。
お菓子作りが初めての方でも、手元を見ながら進めることができます。

作業中に迷ってしまった場合も、購入後に直接質問(※)できるアフターフォロー付きです。

※)商品到着から2カ月以内に、HanaCocoサイト各商品ページの「Review&QA」より「質問する」ボタンをクリックしてお問い合わせください。担当スタッフ、またはキットデザイナーよりお返事いたします。


この記事を書いた人

阪口ゆうこ
ミニマリスト/コラムニスト。Instagramフォロワー10万人超。40代以降の暮らしをテーマに、ムダを削ぎ、余白を整える生き方を綴っている。日々の生活で気づいたことや、セカンドライフの始まりに見えてきた景色を、等身大の言葉で届けている。愛猫家であり、猫たちに人生を乗っ取られがち。
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